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建築 + アーバニズムの冒険 - the quest for urbanism + architecture

踊る石柱、綻ぶ煉瓦、Polonnaruwa - 石の川の登山道、Dimbulaga

三回目となる、オフィス慰安旅行に出かけた。とある昼食時、僕がポロンナルワに行った事がない、という話をしたので、行き先を延々していたローカルたちに一石投じたこととなり、速攻で行き先は決まった。
第一回目の慰安旅行は忘れもしない、昨年3月12日。地震の翌日であった。ローカルな団体旅行は結構堪えるのだが、ローカルスタッフたち、いい奴ばかりである。
今回は、レモンジンなるガソリンみたいなお酒が大好きな男の送別旅行でもある。この男、40代くらいにして、まあ仕事もこなすし、少年のように遊ぶし、旅行中はリーダーシップも発揮するし、いい奴である。仕事仲間でなくなるのはかなり寂しい。今回はレモンジンさよなら会であったが、残念ながらレモンジンは途中の酒屋で売っておらず、普通にアラックがお供であった。

ポロンナルワにはかなり惹かれていた。スリランカの遺跡で有名なのはAnuradhapraがある。ここは紀元前380年に首都となり10世紀頃まで続いた都。今の遺跡は大きなストゥーパが残る。一方のPolonnaruwaはその後12世紀くらいまで首都となった都である。ガイドブックで見る限り、Polonnaruwaの遺跡のほうが新しいためか、寺院跡だけでなく、宮殿跡など、かなりの規模で残っているとの前情報。こっちのほうが俄然興味を引かれていた。

朝6時半に出発。貸切のマイクロバス内、ローカルの激しいローカルソング大合唱をもろともせず、ずっと寝てたらすぐ、ポロンナルワそばのホテルに2時半頃到着。僕はすぐにでも遺跡に向いたかったけど、おばちゃんたち、暑いの嫌だわ、と夕方の出発となった。ここはスリランカでも暑い地方でおばちゃんたちには堪えるらしい。

Polonnaruwa、スリランカ人は入場料が入らないのに対して、外人は25ドル。居住ビザがあれば、コロンボの観光局で半額が還付される仕組みである。25ドルがきちんと遺跡の保存や研究に使われるなら惜しむことなくお金を出すけれど、どうせ、政治家の懐に消え行くお金。
ローカルのおばちゃんたち、こいつらはスリランカの居住VISAがあり、スリランカのために働いているんだ、タダで入れろ、と交渉。一人のおばちゃんが、かつてプロジェクトで一緒に働いていた、スリランカ建築史の大家、今ではスリランカ遺跡エリアの最高責任者であるおっちゃんに電話。まさに鶴の一声。ははあー、おみそれしやした、って感じでお金を払わずに入場。

まあ、そんなこんなで時間がなさ過ぎの超駆け足遺跡めぐり。素晴らしすぎたので、はっきり言って物足りない。いい写真もあまり撮れなかった。

いきなりのQuadrangleと呼ばれる寺院跡に、超鳥肌。の最中に、次に行くよ、と。・・・もう一時間いさせてください、と思いつつ後にすることになる。

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しかし、素晴らしい。煉瓦の寺院あと。石柱はいまだ林立する。踊るようにしっかりと建つ柱。屋根がないためなのか、スケール感覚が絶妙すぎる。四角形の寺院跡の建物の配置、距離感、腰壁くらいにしか残っていない煉瓦の壁と柱のリズム感。うねる石の柱なんかも存在感。細かく意思の表面を見れば古代シンハラ語が刻まれ、レリーフがきれいに残る。仏像もきれいに残っている。遺跡的にも凄いが、建築空間としてももの凄い。

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そのあたりから、伸びているメインストリート脇には商店の跡が残る。これはガイドブックにもあまり紹介されていない、都市のあとである。基礎部分とわずかな煉瓦だけだが、メインストリートにそって発達していたであろう街は創造できる。今のスリランカと同じく、平面的に広がっていたんじゃなくて、線的に街が出来ていたような気がする。それでも線的にお寺や宮殿同士を結ぶようにストリートがあったと思われ、今のスリランカ都市らしくなく、計画的な意思があったんじゃなかろうか、と感じさせる。

大きなストゥーパを見る。京都の本願寺の大屋根よろしく、もの凄いアクセントであったのだろう。

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仏像が巨石に掘り込まれたGal Viharaを見学。ガイドブックの写真にはない雨よけのやすっちい屋根にがっかりするも、美しい仏像。岩自体の模様、横に伸びるラインがまたいい感じ。しかし、侵食もほとんどなくいい保存状態である。

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とにかく広大に広がる古代都市のあとは一日あっても足りない。というか、建築の都市の空間がぐーっと染み入ってきて、本当に鳥肌。

今度は一人でじっくり来たいと思った。

帰り道、巨大なため池に沈む夕陽。

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ポロンナルワ周辺はスリランカ一の穀倉地帯である。ドライゾーンと呼ばれる雨の少ないエリアだが、たくさんの灌漑用のため池が肥沃な大地を潤している。Polonnaruwaが栄えたのも、スリランカ人が驚くほど高度な溜池と灌漑の技術を持っていたからだ。ため池が無数に存在している。


二日目はDimbulagaという岩山の寺へ。Polonnaruwaから30分くらいとそんなに遠くない。ここは外人観光客がまったくといっていいほど来ないと思われる。内戦中はタミルの砦として使われたらしい。

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麓の寺、洞窟寺院のようで、ブッダの生涯が分かるような仏像。邪念や誘惑が迫る座禅くむブッダから、悟るとちゅうブッダ、涅槃ブッダ。入滅したブッダ、いろいろとストーリー仕立てになっていると思われる。

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思えば、日本の仏教はこういうことをあまりしない。比べると日本のお寺の仏像はもっと抽象的な美学だと思った。ブッダのいる世界観を示す。仏陀の生涯はあまり描かれない。スリランカの仏像の周りには庶民の人物像も集っているが、日本のお寺のブッダの周りに庶民がいるのは見たことがない。なかなかいい表情のブッダ生涯の様子像を眺めたあとは、山登り。

激しく岩がごつごつした参道を登る。

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頂上、標高500mくらい。スリ一の穀倉地帯はやはり無数のため池が見えた。風がここちよい。

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山道の途中には、ライムジュースを売る店が二件あった。ライムを搾り、サトウキビと蜂蜜っぽいので甘みを加え、塩、水で味を調える。塩が入っている分、水分吸収には最適と思われる。麓から運んでいると思われる水に激しく不安を覚えつつ飲むと、これがうまく、行きと帰りで三杯も飲んだ。

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そんなジュース屋一軒、奥さんの子供、屋根から釣られたゆりかごみたいなので寝ているのだが、これが美しすぎた。この布の半透明間。天井から地面までの絶妙なバランス。子供が出来たらこれを準備しよう、と思った。本当に美しい光景だったから。

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しっかりかいた汗をそんなにきれいじゃなかったため池の一つで水浴して流す。スリ人に言わせれば、Take Bathである。日本人から言わせれば、こんなところで泳いだ後にお風呂に入るのに、スリランカ人はここで体を洗う。石鹸つき。もうスリランカ人化した自分を感じながら。水浴後、心なしか痒いからだを感じながら、帰路。

いい旅だったが、本当にPolonnaruwaが素晴らしく、時間が足りなさ過ぎた。暑いなんてどうでもいい。本当にもう一度訪ねたいと思っている。
  1. 2012/03/07(水) 17:33:09|
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